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豚舎の悪臭除去に新技術―再生可能な粒状吸着材:産業技術総合研究所ほか

(2019年1月23日発表)

 (国)産業技術総合研究所と関東化学(株)は123日、豚舎などで悪臭の源となるアンモニアを大気中から効率よく除去する技術を開発したと発表した。産総研が青色顔料をもとに開発した粉末状吸着材を粒状化し、吸着装置に組み込んで実用性を確認した。豚舎だけでなく、アンモニア発生による悪臭対策に悩む堆肥施設やトイレ、介護施設などでの活用も期待している。

 使用したのは産総研が3年前に青色顔料から開発した吸着材「プルシアンブルー類似体」。アンモニアの吸収力が高い粉末状物質だが、今回は使いやすい直径35mmの粒状化に取り組んだ。

 まず、青色顔料のプルシアンブルーを構成する元素の一部を置き換えたプルシアンブルー類似体を70種類以上合成。この中から豚舎で利用できるよう再利用可能で低コストの類似体「銅プルシアンブルー」を見出だした。評価試験では吸着能のほか再利用のための薄い酸による洗浄などの再生作業でも壊れにくく、30回繰り返し利用できるなどの高い性能が確認できた。

 そこでこの粒状吸着材を、通気口を設けた縦60㎝、横50㎝、厚さ5㎝のステンレスケースに入れてフィルターを作製、送風機と組み合わせて吸着装置を試作した。吸着装置を40頭の豚を飼育する高さ2m、幅8m、奥行き6m、の豚舎に設置、吸着装置のない場合とアンモニア濃度がどう変わるかを比較した。

 その結果、吸着装置のない場合はアンモニア濃度が約30ppmvppmvはガス濃度の単位)に達したのに対し、設置した場合はその6分の1以下になって悪臭除去効果が確認できた。また、アンモニア濃度100ppmvでの実験では、フィルター1枚で40ppmvに、3枚ではほぼゼロにまでアンモニアを除去できた。

 家畜糞尿の堆肥化施設ではアンモニア濃度が数100ppmvと豚舎より一桁以上高く、その対策が課題になっている。今回の実験で、研究チームは「堆肥化施設の悪臭対策にも有効と分かった」としており、今後利用が進むと期待している。