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さえずりによるライバルの認知、近縁種の存在下でかく乱―南西諸島のカラ類鳥類の野外実験調査で明らかに:国立科学博物館

(2016年8月3日発表)

(独)国立科学博物館は8月3日、南西諸島のシジュウカラ、ヤマガラを対象に、さえずりによる鳥の種の認知を調べたところ、島内にさえずりの似た近縁種が生息すると、他の島の同種のさえずり方言を同種のものであると判断しなくなる、つまり近縁種の存在により、さえずりによる種認知が正しく行われなくなることが分かったと発表した。

鳥のさえずりは雄によるなわばり宣言で、ある雄のなわばり内で他の鳥がさえずり、それが同種の鳥のさえずりと認知されると、雄は自分のなわばり内に侵入したライバルを排除しようと反応する。

研究チームは音声再生装置を使ってさえずり方言を発生させ、ライバルの認識,いわゆる種認識が正しく行われるかどうかを調べた。

実験では、シジュウカラとヤマガラの両種が生息する奄美大島・沖縄島、シジュウカラのみの石垣島、ヤマガラのみの中之島の雄に、自らが生息する島の方言と、それとは異なる同種の異所の方言などを聞かせて反応を調べた。

その結果、一方の種しか生息しない島の個体は、異なる方言に活発に反応した。つまり、同種のものであるという正しい種認知を行った。それに対し、両種が生息する島の個体は、異なる方言にあまり反応せず、正しい認知を行わなかった。

これは、近縁種の存在がさえずりによる種認知をかく乱することを示しているという。その原因については、両種生息の個体では、近縁種のさえずりを誤認すると防衛に無駄なエネルギーを消費することになるので、自種認知が厳密化されており、方言は自種のものとは区別されるためだろうとしている。