生理活性物質のユニークな分解過程を解明―アミン酸化酵素が2段階で環状イミンを分解:筑波大学
(2019年2月4日発表)
筑波大学と兵庫県立大学の共同研究グループは2月4日、植物が作る生理活性物質に含まれる環状イミンを分解する微生物と分解酵素を特定、アミン酸化酵素の一つである銅アミン酸化酵素(CAO)が、環状イミンの分解にも関わっていて、ユニークな2段階反応で環状イミンを分解することを見出したと発表した。生理活性物質の分解代謝過程やメカニズムの解明につながる成果という。
β–カルボリンアルカロイドと呼ばれる生理活性物質は様々な生理活性作用が知られ、天然由来の医薬品として用いられているが、自然界でどのように分解されているかは謎だった。
研究グループはこの解明を目指して今回、最も単純な構造を持つβ–カルボリンアルカロイドの一つであるハルマリンに着目した。
ハルマリンは、ハマビシ科のハルマラという植物の根に多く蓄積することが知られている生理活性物質で、幻覚作用や抗うつ作用を示す。研究グループはハルマラの根付近の土壌にハルマリンを栄養源とする微生物がいると考えて探索し、放線菌の一種であるハルマリン代謝微生物を単離することに成功した。引き続き、ハルマリン分解反応の初段階を担う酵素が銅アミン酸化酵素(CAO)であることを突き止めた。
この酵素が触媒する反応のメカニズム解明に取り組んだところ、この酵素はまず、ハルマリンの環状イミンを加水分解し、次に、その結果生じたアミンをアルデヒドに変換する、という2段階の反応メカニズムでハルマリンを分解していることが分かった。
CAOはアミン酸化酵素の一つであり、ヒトや植物、微生物などに広く分布しているが、その役割には不明な点が多い。今回の研究成果は未知のCAOの役割を見つける手掛かりになる可能性があるという。