柔らかさが長持ちする餅が作れる米の新品種を開発:農業・食品産業技術総合研究機構
(2016年8月4日発表)
(国)農業・食品産業技術総合研究機構は8月4日、柔らかさが長持ちする餅が作れる和菓子などに適したもち米の新品種を開発したと発表した。
国は、食糧自給率向上の一環として米菓などの原料に使う加工用米、米粉用米など新規需要米の作付けを増やそうとしている。それに対応すべく作付け時期、収穫時期を広く分散できる加工用品種に対する要望が高まっており、和菓子作りなどで必要な柔らかさが長くもつ餅が作れるもち米の開発が求められている。
今回開発したのは、水稲(すいとう)もち米の新品種。名称を「ふわりもち」という。
イネは、水田と畑の両方で作ることができ、水田で栽培されるイネを水稲と呼び、主食用うるち米がデンプンの主成分であるアミロースとアミロペクチンの両方を含んでいるのに対し、もち米は一方のアミロペクチンしか含まない。
もち米が粘るのは、アミロースを全くかあるいはほとんど含まないことによる。今回のもち米の新品種「ふわりもち」は、餅に加工すると柔らかさが長持ちして硬くなり難く、農林水産省が開発しもち米の奨励品種として広く普及している「モチミノリ」より10%程度多収で、いもち病や縞葉枯病にかかり難く耐病性にも優れている。
その他、①倒れ難い、②うるち米の代表的品種の「コシヒカリ」より2週間程遅く収穫でき十分に作期分散が図れる、③餅にして5℃の冷蔵庫に貯蔵しても柔らかさが長持ちする、といった特徴を持つことを確認している。
すでに平成28年度から広島県で栽培の取り組みが始まっており、数年後には数十ha(ヘクタール、1haは1万㎡)まで栽培が拡がるものと農研機構では見ている。