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中性子の超高分解能検出の新技術―相対論の検証や産業応用にも道:名古屋大学/京都大学/高エネルギー加速器研究機構ほか

(2019年2月15日発表)

 名古屋大学と京都大学、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の研究グループは215日、陽子とともに原子核を構成する中性子を最高11nm(ナノメートル、1nm10億分の1m)という超高分解能で検出することに成功したと発表した。特殊な写真フィルムを開発、従来の検出器より2桁程度高い分解能を実現した。量子力学や一般相対性理論の検証に役立つだけでなく、学術研究や産業用の透過像計測にも応用できるという。

 極微の世界の粒子である中性子は波としての性質も持つ。中性子が飛んで来る方向を正確に検出できれば宇宙の成り立ちを調べたり、さまざまな物質の内部構造を透視したりできるため、その高精度化が求められていた。

 研究グループは今回、古代遺跡の透視などで活躍する素粒子のニュートリノやミュー中間子を用いた写真フィルムの技術を応用、超高分解能で素粒子をとらえる検出器を開発した。茨城県東海村にある大強度陽子加速器施設「J-PARC」を利用して開発した検出器に中性子を照射する実験をしたところ、分解能100nm以下、最高11nmの分解能で中性子の到達位置を確認できた。この分解能は従来利用されている中性子検出器より2桁程度高いという。

 今回、遅い中性子の波長に相当する11100nmという空間分解能が得られたことで、中性子の量子力学的な波動が直接的に観察できるようになるという。その結果、重力下での中性子の量子力学的な振る舞いを観察できるため、量子力学や一般相対性理論の検証が可能になると研究グループは期待している。また、従来は難しかった燃料電池やリチウム電池の電極付近の構造評価などへの利用にも道が開けるという。