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種なしカンキツの効率的な育種可能に―花粉量と花粉の受精能力判別用のDNAマーカーを開発:農業・食品産業技術総合研究機構

(2019年3月4日発表)

 (国)農業・食品産業技術総合研究機構は34日、消費者に人気の種なしのカンキツを効率よく育種できる技術を開発したと発表した。芽生えの段階で、花粉量が少なく、花粉の受精能力が低い個体を選抜できるDNAマーカーを開発したもので、このマーカーを用いると、種なし、あるいは種の少ない個体を高い確率で圃場に植えつけることができ、目的の品種を効率的に育てられるという。

 果樹の育種では一般に、交配によって得られる多数の個体を圃場で栽培し、目的とする特性を持った個体を選抜する。これには広い圃場と長期間の作業を要し、しかも最終的に品種となる個体は5,000個に1個程度とされる。

 農研機構はこの作業の効率化を図る一環として、今回、種なし、あるいは種の少ない温州ミカンの育成を目指し、果実に入る種子の数を決める特性である「葯(やく)1つあたりの花粉量」と「花粉の受精能力」を効率的に判別するDNAマーカーを開発した。

 実験に用いたカンキツでは、第8染色体に花粉量の多少を制御・決定する場所を、また第6染色体に花粉の受精能力を制御・決定する場所を見出し、これらの場所を特定する目印となるDNA配列をDNAマーカーとした。

 また、今回の研究では花粉量が極めて少なく、花粉の受精能力が低いカンキツ個体をDNAマーカーを用いて選抜するにあたり、選抜対象の個体集団が紀州ミカン由来の細胞質を持つ必要があることが分かったという。

 研究グループは現在、様々な品種・系統を交雑して得られた個体集団を対象に、花粉量が少なく花粉の受精能力が低い個体の選抜の検証を推進中という。