機械学習の活用で熱電材料の発電性能大幅に向上―汎用元素から成る熱電材料の実用化開発加速へ:物質・材料研究機構ほか
(2019年3月13日発表)
(国)物質・材料研究機構と東京大学の研究グループは3月13日、機械学習で最適な元素混合比を見出し、熱電材料の発電性能を大幅に向上させることに成功したと発表した。汎用元素のアルミニウム、鉄、シリコンから成る熱電材料の性能を改善できることから、汎用元素製の実用熱電材料の開発促進が期待されるとしている。
熱電材料は熱を電気に直接変換できる材料で、身の回りの未利用熱や排熱などの有効活用の観点から近年注目され、変換効率の高い材料の研究開発が推進されている。
無害で資源的制約の少ない元素から成る熱電材料の開発に力を入れている研究グループは、先にアルミニウム-鉄-シリコンのみから成る新規熱電材料を開発、今回はこの材料の高性能化に向けて、AIの手法である機械学習を活用し、最適な組成を探索した。
その結果、従来の実験では探索範囲外であった最適な組成の元素混合比を機械学習で見出し、その組成に従って材料を合成したところ、同じ元素でできた従来材料に比べて40%もの出力向上が得られた。
これまで探索外であった組成を機械学習が予測したことによる成果で、性能向上化への新たな道筋が示されたことになる。
今回の研究では併せて、室温から400℃までの非常に広汎な温度域で使用可能な新組成を見出した。
機械学習の有用性が明らかになったことにより、今後はより複雑な組成を持つ新規材料の発見に期待がもたれるとしている。