病気に強く倒れにくい飼料用サトウキビ「やえのうしえ」を開発―奄美、沖縄など土地の狭い島での機械収穫向け:農業・食品産業技術総合研究機構
(2019年3月6日発表)
(国)農業・食品産業技術総合研究機構は3月6日、黒穂(くろほ)病やさび病に強く、収穫時期に台風などの強風でも倒れにくい飼料用のサトウキビ「やえのうしえ」を開発したと発表した。食用ではなく、肉用牛の繁殖経営が盛んな南西諸島向けに適している。
製糖用サトウキビ「農林8号」を母(種子親)に、黒穂病に強い野生種サトウキビ「西表(いりおもて)8」を父(花粉親)に、同属異種間で人工交配した。
黒穂病はサトウキビの最も重要な病害で、感染すると株は枯れてしまう。さらに茎の先端から胞子を飛散させて周囲に広がるため、株の抜き取り作業が必要になる。
農研機構がこれまで作ってきた「しまのうしえ」などと比べると、「やえのうしえ」は黒穂病に対する耐性が極めて強く、さび病やモザイク病に対する抵抗性も優れた「強」を示した。沖縄県南城市では昨年7月から早速栽培が始まった。今後、種子島や奄美地域での利用が期待される。
台風などによる倒伏に強いことから機械収穫に要する時間が短縮されるメリットがある。ただ新たに植え始めたときの初期生育がやや遅いため除草剤を使うなどして雑草害を受けないように配慮が必要だ。
「やえのうしえ」の名前は、交配地と花粉親の地元が八重山諸島で「やえ」、牛の餌用の品種であることから「うしえ」をつなげた。