希少疾患「褐色細胞腫」に新診断法―臨床試験で有効性確認:筑波大学ほか
(2019年3月26日発表)
筑波大学とセティ・メディカルラボ(株)は3月26日、発症者数が少ない希少疾患の一つ「褐色細胞腫」を一回の採血だけで診断する新検査法の有効性を臨床試験で確認、4月から健康保険が適用されて検査が受けやすくなると発表した。
筑波大学の竹越一博教授らの研究グループが臨床試験で有効性を確認したのは、褐色細胞腫の新しい検査法「血中遊離メタネフリン測定法」。患者の血液中に特に多く含まれる遊離メタネフリンと呼ばれる物質を検出することで、腫瘍の状態を従来法に比べてより正確に把握できるという。
褐色細胞腫は腎臓の上にある副腎という小さな臓器から発生する腫瘍。診断が遅れると発作的な高血圧による急死や心不全、動脈硬化、心筋梗塞、脳血管障害などの合併症を引き起こす。そのため早期診断・早期治療がきわめて重要とされていた。
ただ、極めてまれな病気のうえ特徴的な症状がないため、従来は患者を入院させて尿をため、診断に必要な量の検体を確保する必要があった。これに対し新検査法は一回の採血で済み、患者や医療機関の負担も大幅に軽減できるという。
新検査法は、欧米では広く普及しているが、日本ではこれまで十分に認知されておらず、健康保険の適用対象にもなっていなかった。今回初めて日本でもセティ・メディカルラボ社が測定キットの診断用医薬品の製造販売承認を取得、4月から患者に利用できることになった。