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ミツバチが示す特異な「尻振りダンス」を自動解読―花が咲いている場所の推定に使える:農業・食品産業技術総合研究機構

(2019年5月21日発表)

 (国)農業・食品産業技術総合研究機構は5月21日、セイヨウミツバチが示す「尻振りダンス」という特異な動きを自動解読して花が咲いている場所を推定する技術を開発したと発表した。ミツバチがどこで餌の花を見つけているのかを知ることができ養蜂や花粉交配への利用が期待される。
 日本に生息するミツバチは2種類で、その内の一つセイヨウミツバチは明治時代に欧州から入ってきた品種。養蜂家などに飼育され、外に出た働きバチは餌になる花を見つけると巣に舞い戻ってからその成果を示す尻振りダンスを演じて仲間に花の咲いている場所を伝えるということを行っている。
 この尻振りダンスは、別名「8の字ダンス」といい、ミツバチ特有の情報伝達手段として知られ、発見した動物行動学者は1973年にノーベル生理学・医学賞を受賞している。
 餌場を見つけて帰ってきた働きバチは、尻をアラビア数字の8を描くように振るわせる。そのダンスしている時間の長さが巣箱から花までの距離を示していて、それを解読するには時間のかかる観察がいる。しかも観察には1秒間に100フレーム程度撮影できるハイスピードカメラを使用する必要があり、養蜂家が飼育の現場で使えるようにはなっていない。
 研究グループは、一般的なビデオカメラによって巣箱の中を撮影し、ダンスをするミツバチのビデオ動画を粒子画像流速測定法という手法で画像解析して尻振りダンスを自動で解読する技術を開発、餌になる花のある場所を推定できるようにした。
 粒子画像流速測定法は、液体や気体の動きを調べるのに使われている。中に混入させた微小な粒子の動きをカメラで捉えて流体の移動を計測する手法だが、それをミツバチに使うと尻の部分が微小粒子のように明るく写ることから尻振りダンスの解明に応用した。
 手作業では30分間のビデオ動画を解読するのに数日かかるが、コンピューター化したことで大幅に時間を短くできた。
 セイヨウミツバチは、蜂蜜の採取だけでなく、イチゴをはじめとする施設園芸作物の花粉交配にも広く使われている。新技術は、飼育するセイヨウミツバチの採餌範囲を推定できることから飼育環境の把握を的確に行えるようになると農研機構はいっている。