筑波山特産フクレミカンの皮に肥満予防やストレス抑止効果―マウスの実験で効果を確認:茨城大学
(2019年5月27日発表)
フクレミカン (画像提供:茨城大学)
東京農工大学大学院の博士課程、佐藤瑞穂さんと茨城大学農学部の豊田淳教授らの研究グループは5月27日、筑波山特産の小粒のフクレミカンの果皮に肥満効果を抑え、ストレス抵抗性のあることを、マウスを使った実験で確認したと発表した。
フクレミカン(福来みかん)は果実の大きさが3~5cmと豆粒状で、皮が薄いのが特徴。主に筑波山の山麓で生産され、果皮は昔から陳皮として七味唐辛子などに利用されてきた。果肉は甘みが少なくすっきりした酸味が特徴で、最近では飲料や菓子などの加工品の原料にも使われている。
その成分には、沖縄のシークワーサーやポンカンなどに豊富に含まれるポリメトキシフラボノイドが特徴的に多いことが、これまでの茨城県産業技術イノベーションセンターの分析で知られていた。
今回は、成熟する前のフクレミカンの果皮の粉末を混ぜたエサをマウスに与え、肥満やストレスの効果を検証した。
一方のマウスに高脂肪食を、もう一方にはフクレミカンの果皮の粉末を5%混ぜた高脂肪食を4週間与え続け、体重や血中コレステロール値、中性脂肪レベルの変化の度合いを調べた。
その結果、果皮入りのエサを食べたマウスの体重増加量は、高脂肪食だけのマウスの半分程度で、明らかに少なくなっていた。熟する前のフクレミカンの皮には抗肥満効果やメタボリック症候群の予防効果があるとみている。
またストレス抵抗性に関する実験では、心理社会的ストレスを与え続けて作成したモデルマウスを使った。通常のエサと、フクレミカンの粉末果皮を5%混ぜたエサを与えて比較したところ、3週間後に果皮粉末入りのエサを食べたマウスはストレスに対する抵抗性が増加する傾向にあった。
柑橘類に多く含まれる天然の有機化合物のヘスペリジンを0.1%混ぜたエサを食べたマウスは、ストレスに対する抵抗性が優位に増加していた。ストレスで活性化するキヌレニン経路に着目したところ、脳の海馬や前頭前野のキヌレニンレベルが上昇するのに対して、ヘスペリジンのエサを食べたマウスはこの上昇がなかった。ストレスの抑制に役立ったと見ている。