リンゴのゲノム編集技術を世界に先駆け確立―高い効率で遺伝子変異の導入が可能に：徳島大学/農業・食品産業産業技術総合研究機構ほか
(2016年8月18日発表)
（国）農業・食品産業産業技術総合研究機構と徳島大学、岩手大学の共同研究グループは18日、世界で初めてリンゴのゲノム編集技術を確立したと発表した。リンゴの遺伝子に高い効率で変異を導入できることから、リンゴのさまざまな遺伝子機能の解析が期待できるという。
ゲノム編集技術はゲノム上の特定の配列を標的に遺伝子の削除、挿入などを行う新たな遺伝子改変技術。作物や家畜の品種改良や医学分野などで応用研究が活発化しており、中でもクリスパー・キャスナインと呼ばれる手法が近年ゲノム編集技術の主流になっている。
研究チームは今回、植物のカロテノイド生合成酵素であるPDS遺伝子をターゲットにクリスパー・キャスナイン法によるゲノム編集を試み、リンゴにおける高効率のゲノム編集系の確立を確認した。
PDS遺伝子に変異が導入されると、光合成の補助色素のカロテノイドの生合成が抑制され、クロロフィルが光酸化されて植物細胞が白化する。これによりゲノム編集による変異を視覚的にとらえることができ、実験では高い効率での全身白化を確認した。
世界的にも重要な果樹であるリンゴでのゲノム編集と、それによる植物個体の獲得はこれまで例がないという。
