銅触媒表面での二酸化炭素の水素化反応、分子振動が駆動―表面化学反応のメカニズムの理解深化へ:筑波大学ほか
(2019年6月25日発表)
筑波大学と大阪大学の共同研究グループは6月25日、銅触媒表面における二酸化炭素の水素化反応が、二酸化炭素の振動エネルギーで駆動する反応であることを明らかにしたと発表した。これによって、二酸化炭素からメタノールを合成する触媒反応の省エネルギー化の可能性が開けたとしている。
気体分子の触媒表面との反応については、これまでの研究により、気体分子の並進(へいしん)エネルギーが駆動する解離と会合、気体分子の振動エネルギーが駆動する解離と会合の4種類に分類されることが知られている。
この4種のうち、「振動エネルギーが駆動する会合」を除く3種についてはこれまでに詳しく研究されているが、「振動エネルギーが駆動する会合」つまり振動エネルギー駆動の結合形成反応(E-R型)についての研究報告はこれまでなかった。
研究グループは今回、気体分子の並進エネルギーや振動エネルギーなどを系統的に制御可能な超音速分子線技術と呼ばれる手法を用い、銅触媒表面上での二酸化炭素の水素化反応を調べた。
その結果、反応速度は二酸化炭素の振動エネルギーと共に大きく増加すること、表面温度とは無関係であることなどが判明、分子振動で駆動する反応であることが分かった。
これらの成果により、二酸化炭素分子に関連した様々な表面化学反応のメカニズムと速度論の理解が深まることが期待されるという。また、二酸化炭素からメタノールを合成する触媒反応を、「状態間化学」を応用した省エネルギープロセスによって実現する道が開けたとしている。