ノビタキ、本州を経由せずに北海道から大陸経由で越冬地に―草地性の小鳥の渡りルート初めて判明:森林総合研究所/ 北海道大学ほか
(2016年8月22日発表)
(国)森林総合研究所は8月22日、草地性の小型の渡り鳥ノビタキは、繁殖地の北海道から大陸に移動し、本州を経由せずに中国経由で越冬地のインドシナ半島に渡っていることが明らかになったと発表した。
世界的に最も多種類の渡り鳥が生息する極東で、小鳥の詳細な渡りルートが明らかになったのはこれが初めてという。
ノビタキは体重がわずか15gの小鳥で、夏、北海道で繁殖期を過ごした後、南方の越冬地へと移動する。この渡りルートについてはこれまで、本州を経て、本州伝いに大陸に渡り、南方の越冬地に行くと考えられていた。
森林総研は今回、北海道大学、(公財)山階鳥類研究所、ドイツのヘルゴランド鳥類研究所、オーストラリアのディーキン大学と共同でノビタキの飛翔ルートを調査し、従来の想定とは異なる渡りルートを見出した。
調査ではジオロケーターという照度計測器を51固体のノビタキに装着し、翌年北海道に帰還したノビタキから12個を回収。記録された照度データから移動ルートを割り出した。
それによると、北海道を飛び立ったノビタキは大陸に渡り、沿海地方南部・黒竜江省東部のハンカ湖周辺で一時滞在、その後中国の華北平原を経由して、中国南部あるいはインドシナ半島のラオス、カンボジア、タイ、ベトナムで越冬した。
東アジアからオーストラリアにかけての区域は「東アジア・オーストラリア・フライウェイ」と呼ばれており、地球上の渡り鳥の40%以上が毎年ここを南北に大移動している。このフライウェイでの小鳥の具体的な渡りルートを明らかにしたのはこれが初めてで、研究グループは新知見による新たな保全対策が期待されるとしている。