ブタジエン生成用の触媒システムを短期間で開発―AIや計算科学を材料開発に積極活用し成果得る:横浜ゴム/産業技術総合研究所ほか
(2019年7月22日発表)
(国)産業技術総合研究所、横浜ゴム(株)、先端素材高速開発技術研究組合の共同研究グループは7月22日、バイオエタノールからブタジエンを生成する世界最高の生産性を有する触媒システムを短期間に開発することに成功したと発表した。合成ゴムの元となるブタジエンの生産の石油依存度低減につながる成果という。
この開発は、(国)新エネルギー・産業技術総合開発機構が推進する「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」、通称「超超PJ」の成果の一つ。超超PJは、経験や勘に頼ってきた材料開発分野に計算科学やAIを積極的に取り入れ、開発期間を大幅に短縮することを狙いとしたプロジェクト。
研究グループは今回、石油精製の副産物として工業的に生産されているブタジエンを、バイオマス(生物資源)由来のバイオエタノールから得ることを目指し、その生産に適した触媒システムの開発に挑戦した。
バイオエタノールからブタジエンを生成するには数段階の反応を経る必要があるが、研究グループはここでまず、AIを使用した量子科学計算により各段階の反応を緻密に計算、特定の金属酸化物の組み合わせが最適であることを導き出した。
次に、迅速触媒評価と、それぞれの反応性を高速に計測するハイスループット実験を行い、触媒調整条件や反応条件における最適解を見出した。
この成果は、世界最高の生産性を有する非常に高活性な触媒システムを極めて短期間で発見したものであり、触媒開発におけるインフォマティックスの有用性を実証したことになるという。
研究グループは、今回得られたブタジエンを使ってブタジエンゴムの生成にも成功したという。