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合金の複雑な微細構造をパラメータ無しで予測―計算機シミュレーションによる合金設計に道:横浜国立大学/物質・材料研究機構

(2019年8月1日発表)

 横浜国立大学と(国)物質・材料研究機構の共同研究グループは81日、物性や特性を決める合金の複雑な微細構造を、媒介変数あるいは引数(ひきすう)などとも呼ばれるパラメータを使わずに、物理の基本法則のみから予測することに成功したと発表した。計算機シミュレーションによる合金設計に道を開く成果という。

 近年、新材料の創製・開発研究では、実験や観察結果から導き出される理論ではなく、物理の基本法則に基づく第一原理計算を用いて展開する研究が盛んになっている。

 そうした研究の一環として、研究グループは今回、「第一原理フェーズフィールド法」と呼ばれる新手法を開発した。

 フェーズフィールド法は、マイクロメートル(㎛、1㎛は100万分の1m)のスケールでの合金の微細構造組織を計算機シミュレーションで扱うための理論計算手法の一種。従来法では、得られた構造が実験結果に合うようにパラメータを決めていたため予測能力を持たなかったが、新手法では、第一原理計算から得られる階段関数を用いることで一切のパラメータを用いずに微細構造を予測できる。

 今回は航空機ジェットエンジンのタービンなどに用いられるNiAl(ニッケル・アルミニウム)合金を対象に研究開発し、様々なNiAlの混合比に対してパラメータ無しで微細構造を予測することに世界で初めて成功した。

 得られた結果は実験とよく一致し、局所応力分布も簡単に求まるため、機械強度も予測できるという。この研究を発展させれば、目的の特性を最大限に実現できる合金設計への貢献が期待されるとしている。