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むかわ竜を「カムイサウルス・ジャポニクス」と命名―新属新種の恐竜であることが判明::北海道大学/北海道むかわ町穂別博物館/筑波大学

(2019年9月6日発表)

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カムイサウルスの頭骨の復元画 ©Masato Hattori

 北海道大学、北海道むかわ町穂別(ほべつ)博物館、筑波大学などの共同研究グループは9月6日、むかわ町穂別で発見された通称「むかわ竜」が新属新種の恐竜であることを解明、学名を「カムイサウルス・ジャポニクス」と命名したと発表した。

 むかわ竜は2013年にむかわ町穂別の後期白亜系函淵(はこぶち)層の海成層で見つかった恐竜化石で、その後次々と全身の骨格が現れ、全身のおおよそ6割、体積的には8割を超える骨が得られており、恐竜の全身骨格化石としては国内最大。

 岩の中から骨化石を取り出すクリーニング作業がほぼ終了後、研究グループは米国ペロー自然科学博物館、モンゴル古生物学地学研究所などと協力し、系統解析や組織学研究などを進めていたが、むかわ竜には他の恐竜には見られない固有の特徴、例えば、華奢で細い前あしや背骨の上に伸びる突起が大きく前に傾いている、などといった多くの特徴が認められ、このほど新属新種の恐竜であることが判明したとして学名を定めた。

 学名の「カムイサウルス・ジャポニクス」は「日本の竜の神」「日本の神トカゲ」の意味があるという。

 カムイサウルスは系統解析の結果、ハドロサウルス科ハドロサウルス亜科エドモントサウルス族に属し、ロシアのケルベロサウルスと中国のライヤンゴサウルスに近縁な恐竜であることが分かった。

 組織学研究では、カムイサウルスは年齢が9歳以上の成体で、12歳以降に死亡したと考えられるという。体長は8m、体重は4~5.3t。

 カムイサウルスの頭の骨である前頭骨には、鼻骨との大きな関節面があり、トサカを持っていた可能性が示唆されるという。

 カムイサウルスを含むエドモントサウルス族の最新共通祖先は、現在のアラスカを通じてアジアと北米に広く分布していたが、カムイサウルス、ケルベロサウルス、ライヤンゴサウルスの仲間は、カンパニア期には極東に存在し、その後独自の進化を遂げたと推測されるという。