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カエルの“逃げ足”の速さ―外来種によってわずか数十年で進化:東京農工大学/国立環境研究所ほか

(2019年9月17日発表)

 東京農工大学と(国)国立環境研究所、(国)森林研究・整備機構 森林総合研究所は9月17日、敵に遭遇したときの動物の逃げ足の速さが新たな天敵の登場によってわずか数十年で急速に進化する可能性があることを突き止めたと発表した。ハブ退治のためにマングースを導入した奄美大島で、絶滅危惧種であるアマミハナサキガエルの退避行動を調べて明らかにした。

 アマミハナサキガエルは奄美大島と徳之島のみに生息する在来種。一方、マングースは1979年にハブ退治のため島に放たれたものの、貴重な在来種に被害を与えるとして2000年以降には駆除されるようになった。そのため島全域には広がらなかったが、導入地点に近い地域では多くの在来動物を減少させる結果をもたらした。

 そこで研究グループは、この間にマングースが捕食対象としたアマミハナサキガエルの行動がどう変化したかを調べた。具体的には、敵に遭遇したときの逃げ足の速さに注目、人がどこまで近づくと逃げ出すかという“ビビリ”の程度「逃避開始距離」を2013年8月から10月にかけて調査した。

 その結果、マングースの導入地点から近くマングースの影響が強かった地域のカエルほど人が近づくといち早く逃げ出し、ビビりやすい傾向があることがわかった。調査した時点では、マングースはほとんどが駆除されていた。そのため天敵がいなくなっても、一度発達したカエルの逃避行動はすぐには元に戻らないことも確認できたという。

 この結果について、研究グループは「カエルの寿命は3~4年であることを考えると、マングースによる強い影響によってわずか十数世代という期間にカエルの逃避行動が急速に進化した」とみており、外来種の影響の大きさや幅広さを適切に理解するのに役立つと期待している。