極早生の甘い白桃の新品種を開発―6月上旬の収穫が可能に:農業・食品産業技術総合研究機構
(2019年10月16日発表)
(国)農業・食品産業技術総合研究機構は10月16日、極早生(ごくわせ)で甘い白桃の新品種を開発したと発表した。今より早く収穫できる極早生の白桃が求められているだけに普及が期待され、来年の秋から果樹苗木業者により苗木の販売がスタートする。
桃には、果肉の色の違いにより、果肉が白い白桃と呼ばれる「白肉品種」と、黄色い黄桃の「黄肉品種」とがあり、白桃は果肉が軟らかく生食用に、黄桃は果肉が硬いことから缶詰などの加工用として栽培されている。原産国の中国には桃を食べた仙人が不老不死になったという民話もある。
日本でも桃は古くから知られ、農林水産省広報室資料によると現在全国で100種以上栽培され、収穫量は2017年時点で約12万t。
しかし、年中採れるわけではなく旬といわれる収穫期があって、生食用の白桃の収穫時期は「ちよひめ」と呼ばれる全国で栽培されている極早生品種で6月中旬頃から。それより早くとなるとコストのかかる施設栽培に頼らざるを得ない状況にある。
新品種の名は「ひめまるこ」。甘さで売れている早生の白桃「紅国見」と、極早生の黄肉品種として農研機構が開発した「ひめこなつ」とを交配して早期化の壁を破ったもので、現用の極早生白桃「ちよひめ」より9日ほど早く収穫できるようにすることに成功した。
農研機構は、新白桃「ひめまるこ」をつくば市(茨城県)で栽培しているが6月上旬に収穫できることを確認したとしている。
果実成熟日数も63日と「ちよひめ」の73日より10日短い。
収穫した「ひめまるこ」の果実の大きさは、170g程度と「ちよひめ」の207gよりやや小ぶりだったが、糖度は15.3%と「ちよひめ」の14.2%を上回り、「酸味は少なく極早生品種として食味良好」と研究グループは自信ある評価を下している。