膠原病の発症リスク―活性酸素産生遺伝子の変異が関係:筑波大学
(2019年11月11日発表)
筑波大学は11月11日、難病である全身性エリテマトーデスなどの膠原病(こうげんびょう)に体内で活性酸素を作る際に働く遺伝子が強く関連していることを突き止めたと発表した。4種類の塩基で記録されたこの遺伝子の塩基が一つだけ置き換わった一塩基多型が発症に強く関係していることが、日本人集団で明らかになったのは初めて。膠原病の発症メカニズム解明や治療薬の開発、予防医学に役立つと期待している。
膠原病は、本来は外敵を排除するために働く免疫が自分自身の体を攻撃するために起きる自己免疫疾患。その難病の発症に白血球の一種である好中球や単球によって作られる活性酸素の生成に関連する二つの遺伝子が強く関わっていることは、海外の研究で報告されていた。
そこで筑波大の横山望 人間総合科学研究科フロンティア医科学専攻生、医学医療系の川﨑綾助教、土屋尚之教授らの研究グループは、これらの遺伝子と膠原病の関連について日本人集団を対象に大規模な研究を進めた。国内の医療施設の協力を得て、全身性エリテマトーデス患者(842人)、全身性強皮症候患者(446人)など自己免疫疾患の患者1,765人と、健常者934人を対象に発症との関連を詳しく調べた。
その結果、二つの遺伝子を含む遺伝子領域にある4カ所の一塩基多型が、膠原病の全身性エリテマトーデスと全身性強皮症と強く関連していることを確認した。また、両親から1本ずつ受け継いだ同じ染色体のどこに一塩基多型があるかなどによって、発症との関連に差があることなどが分かった。
これらの結果から、日本人集団でも活性酸素の産生に関わる遺伝子の一塩基多型が全身性エリテマトーデスと関連していることが確認できたほか、全身性強皮症とも関連していることが今回初めて明らかになったとしている。