家庭における炭素利用の変化要因を解明―間接CO2は1995年をピークに減少へ:長崎大学/東北大学/国立環境研究所ほか
(2019年11月21日発表)
長崎大学、東北大学、(国)国立環境研究所、九州大学などの共同研究グループは11月21日、日用消耗品や商品(家財)が日本の消費者の手に渡るまでに間接的に排出された二酸化炭素(間接CO2)と、プラスチックや木材などを原材料とする商品に含有されている炭素量(商品中炭素)について解析したと発表した。
地球温暖化の原因となっているCO2などの温室効果ガスの2017年度の日本の総排出量は、CO2換算で12億9,200万t(環境省発表)に上る。
今回の研究は、商品がその全生産・流通過程で排出している間接CO2の量と、商品にどれだけの炭素が含有され熱処理されたらどれだけ大気中にCO2が排出されるのかを明らかにしようと行った。
解析は、1990年から2005年までを対象にして実施した。その結果、間接CO2については1995年、商品中炭素については2000年をそれぞれピークに減少傾向にあることが判明した。
減少に転じた理由としては、消費構造や商品のサプライチェーン(供給連鎖)の変化が考えられると分析している。
一方、需要の拡大や生産構造の変化、少子高齢化に伴う世帯増は、間接CO2と商品中炭素の両方を増加させることが分かった。
全国の家庭で消費された商品のうち廃棄物となる可能性のあるものに含まれる商品中炭素は、CO2量にして1,210万tに上ることが分かった。
この量は、気候変動に関する国際条約のパリ協定に沿って日本政府が家庭部門に求めている目標CO2削減量の2割に相当する。
研究グループは、国の4つのリサイクル法(包装容器リサイクル法、自動車リサイクル法、家電リサイクル法、小型家電リサイクル法)に基づいて回収される商品に含まれる商品中炭素はCO2量にして上記の1,210万tのおよそ半分にあたる660万tで、「法の管理の外にある商品中炭素の量が管理下にあるそれと同程度存在することを見出した」と話している。