膠原病の皮膚筋炎診断に新しい道―抗体と皮膚症状の関係解明:筑波大学
(2019年11月22日発表)
筑波大学は11月22日、湿疹などに誤診されやすい膠原病(こうげんびょう)「皮膚筋炎」の診断や治療法に新しい道をひらく成果を得たと発表した。膠原病はウイルスなどの外敵から身を守る免疫システムが自分の体を攻撃してしまう自己免疫疾患の一つだが、皮膚筋炎の症状は自分の体を攻撃する自己抗体によって特徴が異なるため、抗体を目印にしたより効果的な診断・治療法の開発に役立つとみられる。
筑波大医学医療系の沖山奈緒子講師らが、横浜市立大学、金沢大学などと共同で解明した。
皮膚筋炎は、筋肉に炎症が起きて力が入らなくなったり、皮膚表面がまだら状に赤くなる紅斑ができたりする。自己免疫疾患であることが分かっており、原因となる自己抗体もいくつか突き止められている。また、抗体の種類ごとに皮膚症状や筋炎、がん発症の合併率などの違いがグループ分けできることが分かってきた。
そこで研究グループは今回、皮膚筋炎と診断された74症例から筋炎に特異的な3種類の抗体(抗ARS抗体、抗MDA5抗体、抗TIF1γ抗体)を採取、抗体と患者の皮膚に見られる症状との関係を詳しく調べた。その結果、どの抗体にも共通の症状があった一方で、特定の抗体が特定の症状に深く結びついているなど、皮膚筋炎が4つのグループに分けられることが分かった。
今回の結果について、沖山講師らは「自己抗体別に皮膚症状の特徴があることを、病理組織学的解析で裏付けた」として、治療法の開発でもグループごとに丁寧に解析していくことが重要とみている。