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日本近海に回遊するオサガメの起源を解明:国立科学博物館

(2016年8月29日発表)

(独)国立科学博物館は8月29日、日本近海を回遊し、絶滅の心配のあるオサガメの起源をDNA分析で解明したと発表した。多くはニューギニア島からソロモン諸島にかけての西太平洋で生まれたと考えられる。現存する最大の爬虫類ともいわれるオサガメの生活史は謎に包まれたままで、日本周辺海域がオサガメのどの繁殖集団に利用されているかを解明し、保全の基礎資料にしていく。岡山理科大学、沖縄美ら島財団、日本ウミガメ協議会、男鹿水族館GAOとの共同研究による。

 オサガメは、甲羅の縦の長さ(甲長)が最大で180cm、重さ900kgにも達する世界最大のウミガメ。産卵は熱帯地域にのみ分布するが、それ以外はクラゲなどをエサにしながら世界の海洋を回遊しているとされる。

 日本近海でもオサガメが見られ、全国各地で毎年数件が死体となって漂着し、あるいは間違って魚網に捕獲される。こうして収集された16頭からミトコンドリアDNAを抽出した。

 これをDNA配列データベースに登録された世界各地の産卵地の個体と比較した結果、15頭はニューギニア島からソロモン諸島にかけての西太平洋の産卵地に特有の、また1頭はマレー半島の産卵地に高頻度で見られるDNA配列のハプロタイプを持っていた。

 ハプロタイプとは遺伝子配列のタイプで、片親由来の遺伝子の並びをいう。近い集団では似ているが遠い手段では大きく異なる特徴があり、人類の起源調査や動物集団の比較調査などに使われる。

 オサガメは高い遊泳能力で世界中の海を回遊し、時には極地の海域にも現れるといわれるが、今回の調査では西太平洋の中米沿岸やスマトラ島、大西洋などの産卵地に特有のハプロタイプは見られなかった。日本周辺海域が、どこの産地のオサガメに利用されているかを知る手がかりになる。