42億年前には地球磁場が存在―最古の岩石使い解明:産業技術総合研究所
(2020年1月21日発表)
(国)産業技術総合研究所は1月21日、地球の磁場(地磁気)が46億年前の地球誕生直後から存在していた可能性があると発表した。オーストラリアで見つかった地球最古の岩石を分析、その存在が約42億年前までさかのぼれることを突き止めた。地球磁場は太陽から吹き付ける放射線「太陽風」によって大気が吹き飛ばされるのを防ぐ働きもしており、地球環境や生命進化の歴史を知るための重要な手がかりになるという。
産総研が米国ロチェスター大学や英国リバプール大学、カナダ地質調査所、オーストラリアのカーティン大学など海外の9大学・機関と共同で明らかにした。
分析したのは、地球最古の岩石が見つかっている西オーストラリアのジャックヒルズで採取したジルコン結晶。超伝導量子干渉素子(SQUID)を用いた磁気顕微鏡など最新の測定技術を組み合わせて、結晶ができた年代を推定するとともに当時の地球磁場の強度などを推定した。
その結果、約41億年前のジルコン結晶のデータが、現在の地球磁場に近い磁場強度を示していることが分かった。さらに、従来の研究から約42億年前の試料のデータも現在の地球磁場の半分以上の強度を示していることが分かっている。これらの結果から、約42億年前には既に地球磁場が存在していた可能性があることが示唆されたと産総研は見ている。
産総研は今後、SQUID磁気顕微鏡の感度と分解能を向上させるとともにジルコン結晶や他の地質試料を用いた分析を進めて地球環境の変遷を探り、その復元に役立てる予定だ。