小型ハロゲンランプに代わる明るく長寿命の発光素子開発―強い紫外線や発熱に対する素子の耐性を高め実現:産業技術総合研究所
(2020年1月22日発表)
(国)産業技術総合研究所は1月22日、小型ハロゲンランプを代替できる明るく長寿命な広帯域発光素子を開発したと発表した。小型ハロゲンランプを光源とする超小型計測器や分析機器の代替光源として使用可能なだけでなく、小型光センサーなど新しい製品群の創出が期待されるという。
開発したのは、「紫外LED励起型の超広帯域発光素子」と呼ばれる素子。紫外光を放出するLED(発光ダイオード)と、さまざまな波長の光を発する各種蛍光体とを組み合わせたもので、LEDから放出される紫外光で蛍光体を励起し、広い波長帯域の光を発する。
産総研はこれまでに近紫外から近赤外までの、波長350nm~1,200nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)の発光波長域を持つ素子を作製しているが、明るさが足りず、ハロゲンランプを代替できるだけの発光強度がなく、製品化に至っていなかった。
そこで今回、明るさの向上に取り組み、5Wハロゲンランプの発光強度100mWをしのぐ200mW以上の明るさを持ち、寿命1,000時間以上と長寿命で、広帯域(波長350nm~1,200nm)の発光素子を開発、ハロゲンランプ代替可能性を実現した。
改善したのは蛍光体を取り巻くバインダー材料や蛍光体層の構造の改良。空気中の水分や酸素の侵入に対するガスバリアー性を高めたり、強い紫外線や発熱への耐性を高めたりするなどの改変を行った。
その結果、極めて強い紫外線照射によって発生するバインダーと蛍光体の化学的・物理的変化を抑制でき、目標の性能を得ることに成功した。
開発した素子はハロゲンランプに比較すると、省電力で、熱の発生が少なく、小型で耐久性が高く、パルス点灯できる、などの様々な特性がある。超小型計測器や分析機器用途のための次世代メンテナンスフリー光源としての活用が広く期待されるという。
今後さらに性能を高めたり、実用に向けたプロセス技術を開発するなどし、企業と連携して製品化につなげたいとしている。