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大面積調光デバイスを開発―量産可能な塗布プロセスを利用:産業技術総合研究所ほか

(2019年1月28日発表)

 (国)産業技術総合研究所は1月28日、東芝マテリアル(株)など3社と共同で光の透過度を変えられる大面積調光デバイスの量産化技術を開発したと発表した。電気的に光学特性が変わるインクを工業用装置で塗布できるよう最適化、10cm角程度が限界だった調光デバイスを縦横37cm×47cmまで大面積化できるようにした。耐久性などを評価し、自動車や住宅の窓材などへの早期実用化につなげる。

 産総研、東芝マテリアルのほか、東レエンジニアリング(株)、林テレンプ(株)が共同で開発した。

 今回利用したのは、電気的に物質の色を変えられるエレクトロクロミズム現象を利用した調光材料。可視光の遮蔽ではプルシアンブルー型錯体ナノ粒子が知られているが、透明時と遮光時のコントラストが不十分で熱の透過に関係する近赤外光が制御できないという問題があった。そこで、可視光に加えて近赤外光に対しても遮光特性を持つ酸化タングステンのナノ粒子を水に分散したインクを合成、プルシアンブルー型錯体ナノ粒子のインクと組み合わせることにした。

 インクの濃度や粘度などを調整してスリットコーターと呼ばれる工業用塗布装置を使えるよう最適化、縦横37cm×47cmのガラスに5~20秒で塗布できるようにした。その結果、膜厚のばらつきや材料の使用効率も高く、量産化に適していることが確認できた。そこで、新技術を用いて2枚の透明なガラス基板の間に透明電極と2種類の調光層、電解質層を重ねて調光ガラスを試作、遮光特性を確かめた。

 その結果、2枚の透明電極の間に1.2Vの電圧をかけると無色透明から濃紺色に変化。0.8 Vの電圧を逆向きにかけると、濃紺色から無色透明に戻せることがわかった。さらに、開発した専用電源を使えば1.5 Vの電圧でも制御でき、可視光透過率も5秒程度で77%から55%に変化させられた。また、60秒程度電圧をかけると、可視光の透過率を1.8%に、赤外線を含む日射透過率は1.6%と大きく下げることができ、電圧のかけ方で制御できることも分かった。