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トポロジカル物質の特殊な絶縁性領域を可視化―量子ホール状態を走査ゲート顕微鏡で観察:東北大学/筑波大学

(2020年2月6日発表)

 東北大学と筑波大学の研究グループは2月6日、次世代の情報処理デバイス材料として期待されているトポロジカル物質の特殊な絶縁性領域を走査ゲート顕微鏡観察で可視化することに成功したと発表した。用いた手法は様々なトポロジカル量子状態の観察に応用が期待されることから、より外乱に強い情報処理デバイス材料の探索に役立つとしている。

 トポロジカル物質は、物質の内部が絶縁体でありながら表面は電気を通すトポロジカル絶縁体が2007年に発見されて以来、金属や半導体、超伝導体などでも見つかっているもので、最先端分野の物性物理学に新潮流を巻き起こしている物質。

 トポロジカル物質には、電子による情報伝達が不純物などに邪魔されにくいという特性があり、例えば、トポロジカル量子状態の一つである量子ホール状態では、逆向き電流が流れる左右の試料端チャネル間に絶縁領域が存在し、端チャネル間の電子散乱が阻害されることで不純物などの外乱に乱されにくい電気伝導特性が生じると考えられている。しかし、この特徴的な電気伝導構造が外乱に対してどのように振舞うか、直接調べる方法がなかった。

 研究グループは、外乱として過剰電流を流しながら、金属探針を走査ゲートとして用いて、その応答を電気抵抗測定でとらえる走査ゲート顕微鏡マッピングを行った。すなわち、トポロジカルに護られた電子状態の一つである量子ホール状態を過剰電流で乱して、走査ゲート顕微鏡観察した。その結果、量子ホール絶縁領域の電子散乱をミクロスコピックに映し出すことに成功した。

 これによって、トポロジカルに護られたミクロスコピックな状態が、過剰電流といった外乱下でも保持されていることが実証されたという。

 今回の研究は様々なトポロジカル量子状態の観察に応用が期待されることから、外乱に強い材料の探索に貢献すると考えられるとしている。