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アジアで流行のアフリカ豚熱―イノシシで拡散のおそれも:農業・食品産業技術総合研究機構

(2020年2月17日発表)

 (国) 農業・食品産業技術総合研究機構は2月17日、東欧やアジアで流行している豚のウイルス感染症「アフリカ豚熱(ASF)」が野生の二ホンイノシシにも感染し豚と同様の症状を引き起こすことが分かったと発表した。国内へはまだ入っていないが、万一侵入した場合にはイノシシを介して拡散するおそれも考えられるという。

 2007年から流行が続く欧州では、ASFウイルスがヨーロッパイノシシに感染したことで広く拡散し、撲滅困難な状況に陥っている。仮に日本で発生した場合にも野生のイノシシを通じてウイルスが拡散することが懸念されるが、国内に生息する二ホンイノシシに感染するのかは未知数だった。

 そこで農研機構は、東欧やアジアで流行しているASFウイルス株(Armenia07)を二ホンイノシシ4頭の後ろ脚に接種、6日間にわたって観察し死亡後は解剖して詳しく調べた。その結果、脾臓がすべて黒っぽく著しく腫れていたほか、胃の周囲のリンパ節が暗赤色になって血液が固まりにくくなっているなど、豚と同様の病変がみられた。

 この結果から、農研機構は「現在流行しているASFウイルスは二ホンイノシシにも感染し、豚と類似の症状を引き起こすことが確認できた」として、国内に侵入した場合には野生イノシシによる感染拡大を警戒する必要があるとしている。