半導体エッチング用のフッ素系ガス漏えい検知技術を開発―製造プロセスの安全管理の簡素化に貢献:産業技術総合研究所
(2016年9月2日発表)
(国)産業技術総合研究所は9月2日、最先端の半導体製造プロセスに用いられ、環境や生体への影響が懸念されているエッチング用のフッ素系ガスを、選択的かつ高感度に検知できる技術を開発したと発表した。
新検知器は空調機などに用いられている冷媒用のフッ素系ガスには反応しないので、冷媒の漏えいとエッチングガスの漏えいを区別でき、安全管理の簡素化や生産性の向上に役立つという。
最先端の半導体製造現場ではC4F6、C5F8といったフッ素系ガスをエッチング加工に用いている。これらのガスは反応性が高く、生体への影響が懸念されることから工場では多数のガス漏えい検知器を設置し、室内の濃度を2ppm(ppmは100万分の1)以下に管理している。
しかし、これまでの検知器は冷媒用のフッ素系ガスにも反応してしまうことから、エッチングガス成分だけを区別して検知できる技術の開発が求められていた。
新技術は、冷媒用とエッチング用の両ガスの炭素結合の違いを利用したもので、炭素の二重結合を持つエッチング用ガス分子に選択的に反応して色が変化する有機化合物を見出し、これを検知剤とする検知器を作製した。
検知剤を染み込ませたろ紙にエッチングガス成分が接触すると、ろ紙の色がガスの濃度に応じて褐色に変わる。ここにLED光を当て、反射光の強度から濃度を知る仕組み。冷媒などに用いられているフッ素系ガス(パーフルオロカーボン)は炭素の二重結合を持たないので検知剤とは反応しない。
これまで冷媒交換時にはエッチングガス検知器を停止させ、エッチングプロセスを中断させるなどの対応が必要であったが、新検知器を用いればこうした対応は不要になるという。