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難燃軽量の太陽電池モジュール:産業技術総合研究所

(2016年9月5日発表)

(国)産業技術総合研究所は9月5日、軽くて難燃性の太陽電池モジュールを開発したと発表した。太陽電池本体を保護・固定するガラス基板や可燃性有機部材、アルミフレームの代わりに、軽いアルミ合金板や難燃性シリコーンゴムなどを採用して2分の1に軽量化した。電気自動車の車載用や住宅の屋根材一体型、壁面設置型など、太陽電池の新しい利用法が期待できるとしている。

 太陽電池は通常、光を電気に変える結晶シリコン太陽電池の本体を何枚も電気的に接続して無色透明の封止材で密封、表面を強化ガラスで覆う。さらに全体の強度を保つためにアルミフレームで固定して太陽電池モジュール(いわゆる太陽電池パネル)とし屋外に設置する。

 今回開発したのは、封止材として厚さ0.5mmのシリコーンゴムを使い、表面を強化ガラスの代わりに厚さ約0.05mmの難燃性高分子フィルムで覆った。さらに裏面を絶縁処理した軽量のアルミ合金板で固定、実用化に必要な強度を実現した。

 従来、封止材には一般に可燃性プラスチックのEVA(エチレンビニルアセテート)が使われている。封止材に難燃性のシリコーンゴムを用いる試みもあったが、コスト面で割高になり導入されて来なかった。今回は従来の強化ガラスやアルミフレームなどを使わなくても十分な耐久性や強度を実現する構造を採用、パネル全体のコストを実用レベルにまで下げた。

 試作では、重量を従来型パネルの約半分に削減。さらにパネル表面に鋼球を落下させる強度試験でも従来型パネルで電気出力が87%にまで低下したのに対し、新型パネルでは低下がほとんど見られず、優れた性能を発揮することが確認できた。

 産総研は「高い難燃性や軽量化、割れない、簡単に設置できるなどのメリットを生かして、新たな用途や従来とは異なる設置・利用法での太陽電池パネルの導入が期待できる」とし、スマートハウスへの利用拡大やネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の実現に貢献すると期待している。