ナノ粒子を超薄膜上で同心円状に配列―光デバイスやセンサーに応用も:物質・材料研究機構
(2016年9月6日発表)
(国)物質・材料研究機構は9月6日、厚さ0.1マイクロ(μ、100万分の1)mという超薄膜上にナノ(n、10億分の1)m単位の微粒子(ナノ粒子)を同心円状に配列させる技術を開発したと発表した。ナノ物質を設計通りに配列制御するナノテクノロジーの新しい技術として、光学や電子・磁気を利用するセンサー部品などへの応用が期待できるとしている。
特殊な試薬を混ぜたゼラチンと硝酸銀溶液を用いた実験でナノ粒子が同心円状に並ぶパターンが自然に形成されることは120年前に報告された。それ以来、発見者の名前からリーゼガング環と呼ばれ、ナノ粒子が同心円状に並ぶメカニズムの解明や実用技術への応用研究が続けられてきた。
今回、光学素子やセンサーなどに応用するのに欠かせないとされる厚さ0.1μm以下の超薄膜上に同心円パターンを形成することに初めて成功した。これまでは数μm程度以上の厚いゼリーシートが必要と考えられていたが、今回初めてこの限界を超え、今までの常識を覆した。
実験では、シリコン結晶の基板上にゼラチンを材料に0.1μmのゼリー薄膜を作成、この上からナノ粒子を含む溶液を滴下した。このときに滴下する環境中の温度を精密に管理、水蒸気量も厳密にコントロールする。その結果、ゼリー表面の撥水性が適切に維持できるため、滴下した液滴の中央から拡散していくナノ粒子の量が適切に設定でき、0.1μmの超薄膜上でもきれいな同心円パターンを形成できることがわかった。
ナノレベルの構造を効率よく作成することが必要な、新しい電子部品や光学素子づくりへの応用が期待できるという。