酸化ハフニウム基強誘電体の基礎特性を解明―夢のメモリーの超高密度化に道:東京工業大学/東北大学/物質・材料研究機構
(2016 年9月9日発表)
東京工業大学と、東北大学金属材料研究所、(国)物質・材料研究機構の研究グループは9月9日、スマホやパソコンのトランジスタに使われている酸化ハフニウムを基本組成とする強誘電体の基礎特性を解明したと発表した。電源を切ってもデータが保持でき、高速動作できる強誘電体製メモリーの超高密度化に道を開く成果という。
強誘電体メモリーは鉄道の非接触型ICカードなどに使われるだけでなく、データ保持や高速動作性の面から夢のメモリーとして期待されてきた。しかし、これまでは薄くすると特性が低下することから高密度化が出来ず、用途が限定されていた。
研究グループは今回、酸化ハフニウムの薄膜製法などを工夫することにより、結晶方位を制御した単結晶膜を電極上に作製することに成功、これを用いて、これまで明らかになっていなかった特性を突き止めた。
それによると、①強誘電体相が400℃以上の高温まで安定に存在し、広い温度範囲での使用が可能であること、②使用可能温度と電圧を切った時に貯められる電気の量との関係については、従来から使用されている強誘電体に匹敵する特性が酸化ハフニウム基強誘電体にあること、などが明らかになった。
これらの結果から研究グループは、単結晶の酸化ハフニウム基強誘電体膜には薄膜化しても特性が劣化しないという特性があり、新たに分かった特性も含め活用すれば“夢のメモリー”の飛躍的な高密度化が期待できるとしている。