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神経疾患と皮膚疾患が合併して発症するメカニズムを解明―遺伝子変異マウス用いて明らかに:新潟大学/理化学研究所

(2020年5月25日発表)

 新潟大学と(国)理化学研究所などの共同研究グループは525日、神経疾患と皮膚疾患が合併して発症するメカニズムをマウスを使って明らかにしたと発表した。

 神経疾患や皮膚疾患は難治・進行性であることが多くそうした治療はなかなか難しい。近年は科学の進歩により新しい診断法、治療法が発展してきているがまだ不明のことも多く根治に向けてその解明が求められている。

 研究は新潟大、理研と米国のジャクソン研究所の日米共同で行われ「ジストニン遺伝子」と呼ばれる遺伝子を変異させた2種類のマウスを用いて行った。

 ジストニン遺伝子は、神経組織、上皮組織、筋組織に主に存在し、アイソフォームと呼ばれる高度に類似したたんぱく質を作る。

 ヒトの場合このジストニン遺伝子に異変が起きると、感覚神経や自律神経などの末梢神経が壊れて働きが悪くなる遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチー6型という難治性の末梢神経障害と、皮膚疾患の単純型表皮水疱症を発症することが報告されている。

 しかし、ジストニン遺伝子の変異から起きるこの2種類の発症が合併する可能性については十分研究されていない。

 そこで、研究グループは2種類のジストニン変異マウスを用いて神経組織と皮膚組織におけるジストニンのアイソフォーム合成と病理変化の比較を行った。

 その結果、神経型のジストニンたんぱく質と皮膚型のジストニンたんぱく質の内、前者の配列のみに変異をもつ変異マウスの系統は神経症状を起こすだけにとどまるが、両方の配列に変異のある変異マウスの系統は神経疾患と皮膚疾患が合併して発症するメカニズムであることが分かった。

 この成果は遺伝性疾患の診断や治療に向けた基礎的知見になり、遺伝性ニューロパチーの病態解明などへの利用が期待されるという。