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大面積調光ガラスを低コスト化―塗布可能な新材料供給:物質・材料研究機構ほか

(2020年6月26日発表)

 (国)物質・材料研究機構は6月26日、電気をかけることで色を変えられる高分子材料「メタロ超分子ポリマー」を安定的に供給できる合成プロセスを東京化成工業(株)と共同で確立したと発表した。ブラインドやカーテンの機能をスイッチ一つで可能にする調光ガラスを低価格で実現できる。既に調光ガラスのメーカーなどに向けて、新高分子材料を産業利用できる供給体制を整えた。

 エレクトロクロミック(EC)材料を用いた調光ガラスは、透明電極のついた2枚のガラス板でEC材料を挟み、電極間に電気を流すことで色を変えられる。電気をかけるだけで透明と着色を自由に切り替えられるため、すっきりとしたオフィス空間や生活空間を作り出せる次世代ガラス窓材料として世界的に開発が進んでいる。

 今回、合成プロセスを確立したメタロ超分子ポリマーは、ガラス表面に塗布するだけで調光に必要な被膜を作れるのが特長。ガラスが大型化しても、コストのかかる特殊な装置を必要とせず、調光ガラスの大幅な低価格化が実現できる。

 従来の調光材料は、真空容器の中でガラス表面に蒸着する必要があり、ガラスが大面積化するとそれだけ大型の真空蒸着設備が必要だった。そのため設備コストが非常に高くなり、一般の窓材へ普及させる際の障害となっていた。

 物材研と東京化成工業は「原料の有機分子からEC材料の合成に至るまでの一貫プロセスを確立したことで、安定した品質で量産できる体制を確保した」としている。既に月産百g程度(調光ガラスにして数十㎡分)の生産体制を実現、今後さらに強化して実用化を推進したいとしている。