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地球乾燥化の“主犯”は温暖化―気温上昇低ければ抑制も:東京大学/国立環境研究所

(2020年9月17日発表)

 東京大学生産技術研究所と(国)国立環境研究所は9月17日、過去100年間に深刻化してきた地球の乾燥化は人間活動による温暖化が主な原因だとする研究成果を発表した。将来的に世界の平均気温の上昇を気候変動に関する国際的な取り決めであるパリ協定で目標とした1.5℃以内に抑えられれば、2℃上昇した場合に比べ乾燥化は大きく抑えられるとする見通しも明らかにした。

 研究グループはまず、過去100年間にわたって起きた地球乾燥化の要因を分析した。過去の観測結果とコンピューターによる数値シミュレーションを用い、自然変動のみを考慮した場合と人間活動の影響も考慮した場合について、それぞれ1902年から2014年までの利用可能な水資源量の変化を計算した。

 その結果、人間活動を考慮した場合には、最近30年間の1年で最も乾燥した月の平均利用可能な水資源量が各地で実際に観測されたのと同様な変化を示した。ところが、こうした変化は気候の自然変動のみを考慮した場合には現れず、人間活動による温室効果ガス排出が影響した可能性がきわめて高いという。特に欧州や北西アメリカ、北アジアなど、東アフリカなどの中高緯度地域で乾季の乾燥度が高くなり、その原因も降水量の減少ではなく、主に蒸発散量の増加であることが分かった。

 また、温暖化に伴う乾燥度の変化とその要因を分析したところ、気温上昇に伴って降雨量が増加して湿潤化する地域と、減少して乾燥化する地域が生まれることが分かった。乾燥度の変化は平均気温の上昇が1.5℃と2℃の場合でほぼ同じ傾向を示したが、いくつかの地域では大きな違いが現れ、2℃上昇の場合に急激な乾燥化が進む地域が出てきたという。特に地中海周辺では降雨量は1.5℃上昇ではほとんど変わらないが、2℃上昇では6%以上減少して乾燥化が進むという。一方、1.5℃上昇で著しい乾燥化が予測された南米北部や南アフリカでは、2℃上昇になるとさらに降雨量が減少して乾燥化が進むとの結果が得られた。

 これらの成果から、研究グループは「気温上昇を1.5℃に抑えることで、2℃上昇時に比べて地球の乾燥化を大幅に抑えられる」とみている。