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カロテノイド多いトマト実現―複数遺伝子の同時改変で:筑波大学ほか

(2020年12月1日発表)

 筑波大学と神戸大学の研究チームは12月1日、遺伝子を狙い通りに書き換えるゲノム編集技術を用いて抗酸化力が強く健康に良いとされるカロテノイド含有量の多いトマト作りに成功したと発表した。カロテノイドの蓄積には複数の遺伝子が関わっているが、今回はこれらを同時に改変する手法の有効性を確認した。今後の農作物の迅速な改良につながると期待している。

 ゲノム編集は生物の遺伝子DNAの配列を狙い通りに書き換える技術で、2020年にノーベル賞も受賞した。今回用いたのはその応用技術の一つとして2016年に神戸大学が開発した「Target-AID」を利用、複数の遺伝子で制御されている農作物の収量性や耐病性などを改良するゲノム編集にこの手法が有効なことを初めて確認した。

 実験では、トマトの色素やリコペンの蓄積などカロテノイド代謝に関わる3つの遺伝子の同時改変をTarget-AIDを用いて試みた。その結果、83%の効率で標的とした3つの遺伝子全てを同時に改変できた。トマトの果実が緑色のまま十分に大きくなった緑熟果の段階でクロロフィル含有量は約2倍に、赤く熟した赤熟果でカロテノイド含有量が約1.5倍に増加していることも分かった。

 この結果について、研究チームは「Target-AIDが複数の遺伝子を同時に標的とした塩基置換変異の効率的な導入に有効」と話しており、将来的にはトマトのカロテノイド含有量向上のほか、他の重要作物の品種改良の効率化にも役立つと期待している。