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森林浴にストレス対処力を高める効果―働く人のメンタルヘルス不調対応に道:筑波大学/森林総合研究所

(2021年1月13日発表)

 働く人のメンタルヘルス不調への対応が課題となっているが筑波大学と(国)森林研究・整備機構森林総合研究所の共同研究グループは1月13日、森林浴により働く人のストレス対処力が高まることが分かったと発表した。森林浴という自然との触れ合いを習慣的に頻度高く行うとストレス対処力が高くなることが統計的解析から分かったという。

 メンタルヘルスは「心の健康」という意味の英語。悩みや不安など精神面における健康問題を幅広く含み、仕事についてのストレスや悩みを感じている人の増加に伴い働く人のメンタルヘルスを保つことが重要になっている。

 そのため、メンタルヘルス不調の発生をいかにして予防するかが求められ、ストレスに上手く対処する力(ストレス対処力)がどのような生活環境と関連しているのかについて多くの研究が進められている。中でも注目されていているのが自然との触れ合いで、一回数時間森林浴をした場合のリフレッシュ効果などが既に数多く報告されている。

 しかし、働く人が森林浴を習慣として行った場合のメンタルヘルス効果については明らかにされていなかった。

 そこで研究グループは、筑波研究学園都市(茨城県 つくば市)で働く研究者などを対象にして筑波研究学園都市交流協議会の労働衛生専門委員会が2017年に実施した「第7回生活環境・職場ストレス調査」のデータを二次利用し、20~59歳の男性3,965人、女性2,501人の計6,466人についての調査結果の統計的解析を行った。

 解析は、ストレス対処力をSOC尺度(sense of coherence)と呼ばれる手法で判定すると共に、ハイキング、山歩きといった森林散策や緑地散歩をどれくらいの頻度で行っているかを調べ、対象者を低SOC群、中SOC群、高SOC群に分けて森林散策・緑地散歩の頻度とSOC値との関連を調べる方法で行った。

 その結果、森林散策や緑地散歩の頻度が高いほどストレス対処力が高くなることが分かったという。

 我が国は国土の約3分の2が森林で占められており森林浴の国民的効果は大きいだけにさらなる研究の深化が期待される。