浜松で生じた歴代最高タイ記録気温41.1℃の要因を解明―熊谷市や多治見市などの高温化のメカニズムと類似:産業技術総合研究所ほか
(2021年2月3日発表)
(国)産業技術総合研究所と気象大学校の研究グループは2月3日、2020年8月17日に静岡県浜松市で日本歴代最高タイ記録の気温41.1℃が観測された要因を解明したと発表した。得られた結果は、浜松市で40℃超えの猛暑が今後も発生し得ることを示すとともに、同じような条件がそろう地域で同様な高温が発生する可能性があることを示しているという。
浜松市は、高温が頻発している埼玉県熊谷市や岐阜県多治見市が内陸部に位置しているのとは異なり、沿岸部に位置し、これまでは高温の発生頻度が少なく、今回の異例の高温タイ記録の発生要因に関心がもたれていた。
産総研は、熊谷市や多治見市、高知県四万十市などにおける高温発生に関するこれまでの研究で、40℃を超えるような高温の発生には、複数の要因が積み重なることが必要であること、特にフェーン現象とそれに伴う風が、都市部や乾燥した地面からの熱供給を受けてさらに高温化するというメカニズムが猛暑の決定打になることを明らかにしてきた。
今回こうした知見を踏まえ、今後ますます頻発するであろう猛暑の体系的な分析・理解に取り組んだ。
研究の結果、特定の気圧配置型の出現と、これに伴う上空の高温・北西寄りの風、連日の晴天が必要条件であることが分かった。
これらの条件により、濃尾平野ではフェーン現象が発生し、その後フェーン現象で昇温した風が、名古屋都市圏や、連日の晴天で乾燥した地面付近を吹き抜ける際に、地面から熱供給を受けてさらに高温化、これにより浜松市周辺の気温が最も高くなることが分かった。
同時に、相対的に冷たい海からの南寄りの風の侵入が阻まれたことが、41.1℃の猛暑の直接的要因だった。
この高温の状況や高温化のメカニズムは、過去に浜松市が高温になった状況や、熊谷市、多治見市で40℃を超える高温が生じたメカニズムと類似していることが分かった。これは、同様の条件がそろう地域で同様の高温が発生する可能性があることを示しているという。
今回得られた知見は、今後頻発が予想される猛暑の体系的な理解や、電力需要の予測に有用としている。