内陸型地震の短期予測に手がかり―前震が震源方向に移動:京都大学/筑波大学
(2021年4月16日発表)
京都大学、筑波大学などの研究グループは4月16日、2011年3月11日に起きたマグニチュード9(M9)の東北地方太平洋沖地震後に日本全国で頻発した誘発地震の発生メカニズム解明に新たな手がかりを得たと発表した。巨大地震の後に起きる内陸型の地震活動がどのように起きるのかを短期的に予測することにつながると期待している。
研究グループには京大、筑波大のほか気象庁地震火山部と(国)防災科学技術研究所の研究者らも加わり、東北地方太平洋沖地震の13時間後に長野県北部で発生したM6.2の地震の前に頻発した微小地震活動を詳しく解析した。
その結果、前震とみられる微小な地震活動の分布が、M6.2の地震の震源付近から南西方向へ2km程度の線状に伸びていることが分かった。さらにこれらの前震活動は、時間とともに南西側から次第にM6.2の本震の震源付近に移動していく傾向がみられ、特に本震発生前の1時間には本震のごく近くで明らかに活発化していた。
研究グループは、こうした前震活動の活発化と移動について「内陸断層が局所的にゆっくり滑りをした可能性を示す重要な証拠」とみている。また、今回の研究対象となった地域全体で見たときの微小地震活動は、3.11の東北地方太平洋沖地震から1時間以内に始まり群発地震になっている。そのため、地殻内の流体の動きがそうした群発地震活動を促進した一因になっていたと考えられるという。
研究グループは「地震活動の時空間的な特徴を詳細にとらえ、さまざまな地震の誘発プロセスを考慮することが、内陸地震活動の短期的な予測につながる」と期待している。