赤色と紫肉色のカラフルポテト新品種を開発―アントシアニンが豊富、菓子類加工に適し、害虫にも強く、つぶ揃い:農業・食品産業技術総合研究機構
(2021年8月26日発表)
(国)農業・食品産業技術総合研究機構は8月26日、赤肉色と紫肉色の2種類のカラフルポテトの新品種を開発したと発表した。既存のカラフル品種よりアントシアニン含量が多く、いもの形が整っていることから生産や加工で扱いやすいなどの特徴がある。2025年春頃から、民間の種苗会社や農協などを通じてタネ芋が供給される予定。
開発したのは、「シャイニールビー」と「ノーブルシャドー」の2種。
「シャイニールビー」は大粒の赤肉食の「長系115号」を母に、淡赤肉色の「96049-1」を父とする交配組み合わせから選抜した。線虫(ジャガイモシストセンチュウ)に対する抵抗性があり、植物由来の天然色素のアントシアニン含量が高い。長卵形で形状が整っているために、生産、加工がしやすい。赤肉色のカラーを生かした調理や加工が期待される。
休眠期間がやや短いため種いもの低温貯蔵管理が必要になる。その後、明るい環境で加温して芽の出るのを促し、光を当てて丈夫な幼芽を育てるための浴光育芽をする。肉色がきれいな赤色(ルビー色)から名付けられた。
「ノーブルシャドー」は、同じ線虫抵抗性を持つ濃い紫肉色の「05091-13」を母とし、線虫抵抗性を持つ赤肉色の「勝系28号」を父とする交配組み合わせから選抜した。既存品種のシャドークイーンにはない線虫抵抗性があり、疫病などにも強い。
アントシアニン含量が高く、紫肉色を活かした調理、加工ができる。休眠時間が長く、萌芽や初期生育がやや遅いため、植えつけ前に種いもの光を浴びた育芽を十分行うことが必要。
肉色の濃紫色が、気高さと黒い影を思わせることからこの名がついた。
双方ともに鮮やかな肉色の特徴を活かした利用ができる。一つは菓子類の加工原料になる。また人目を引く色であることから、農産物直売所の目玉商品や家庭菜園などの小規模栽培に人気を集めそうだ。