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高感度地震計で洪水予測も―河川の流量変化を推定:防災科学技術研究所

(2021年11月2日発表)

 (国)防災科学技術研究所は11月2日、河川の上流域で起きる水の流量変化を高感度地震計で検出する手法を開発したと発表した。地震計による微動記録の解析をリアルタイム化すれば、ゲリラ豪雨など河川の上流域で発生する局地的な大雨によって中下流域で起きる氾濫を予測し、いち早く洪水警報を発することができると期待している。

 防災研は、地震活動だけでなく地滑りなど自然現象や、車や鉄道など人の活動によって生じる微弱な揺れもとらえる高感度地震計に注目、河川の流量変化の検出に応用することを検討した。日本では地震活動と地下構造を解明する目的で全国約800カ所に高感度地震観測網「Hi-net」が張り巡らされており、そのデータの有効活用を目指した。

 研究では、急流で知られる山形県の最上川流域を対象に、2004年、2015年、2019年に発生した洪水の際に高感度地震計がとらえた微動記録を解析、地震計に最も近い地点の最上川の流量を推定した。この数値をもとに流量がピークになる時刻とその流量を実際に観測された値と比較したところ、ほぼ一致することが確認できた。

 この結果、過去に起きた洪水をもとに河川流量を推定する換算式を作れば、高感度地震計の微動記録から上流域の流量をかなり正確に推定でき、下流域での洪水予測に応用できる可能性があることが分かったという。

 今回は最上川を対象にしたが、河川近くに設置されている高感度地震計は全国に多数あるため、防災研は他のいくつかの観測点でも同様の調査を進めている。ただ、今回開発した手法では精度よく過去の洪水を予測できなかったケースもあるため、今後さらに検証を重ね、新手法の高度化を進める。