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CO2地中貯留に新手法―非晶質化合物の安定性確認:筑波大学

(2021年11月24日発表)

 筑波大学は11月24日、地球温暖化の原因とされる大気中の二酸化炭素(CO2)の地下に閉じ込める地中貯留を実現するための新しい手がかりを得たと発表した。CO2を材料に地下の比較的低温環境下で作られる化合物「非晶質炭酸マグネシウム」が数年間安定していることを確認、大気中のCO2濃度を減少させる安全な隔離方法の一つになる可能性があるとの見通しを得た。

 地中貯留は大気中のCO2濃度を減少させる方法の一つとして考えられており、その方法は地下水にCO2を混ぜて圧入して周囲の岩石と反応させて石灰岩として固定するというものだ。ただ、石灰岩の一つであるマグネサイト(MgCO3)は熱水のある環境下でしか形成されず、低温環境下ではその構造や温度依存性などが解明されていない非晶質炭酸マグネシウムが作られる。

 そこで筑波大の興野純(きょうの あつし)准教授は、大型放射光施設「Spring-8 」などを利用して、この非晶質炭酸マグネシウムの構造と温度依存性などを詳しく調べた。その結果、非晶質炭酸マグネシウムは数年の時間スケールでは分解したり溶解したりすることはなく、CO2を固定したまま安定していることが分かった。

 この結果から、興野准教授は「地下水中でも長期安定性を有すると予測できる」として、非晶質炭酸マグネシウムを用いた炭酸塩化による地中貯留も大気中のCO2濃度を減少させるための安全な隔離方法の一つになるとみている。