(独)産業技術総合研究所は9月30日、土壌・地下水の複合汚染による環境リスクや健康リスクを、時間的・空間的に評価できる「地圏環境リスク評価システム(GERAS)」の詳細モデル「GERAS-3」を開発したと発表した。企業や自治体などに無償で配布する。
完成したGERAS-3は、土壌汚染などの環境リスク管理を企業や自治体が自主的に行う場合、鉱物油、揮発性有機化合物、重金属などの複合的な影響をはじめ、農薬や難分解性化学物質のような未規制対象物質のリスクを評価し、リスク低減効果の把握、時間的・空間的な分布を評価できるなど、次世代型のリスク管理ツールとしての活用が期待される。
2010年4月には改正土壌汚染対策法が施行され、用地のリスク管理が一段と強化される。このため、汚染現場の調査・観測によって取得したデータを用いて汚染状態の程度、規模、広がりなどの科学的な評価を行い、リスクの時間的・空間的な分布を定量的に把握することが必要となる。
同研究所は、2006年11月に土壌・地下水汚染問題を科学的に評価するためGERASを開発し、スクリーニングモデル「GERAS-1」と、サイトモデル「GERAS-2」を公開、すでに800を超える工場や事業所などで利用されている。
今回、新たに鉱物油、揮発性有機化合物、重金属などによる複合的な土壌・地下水汚染にも対応できる利用者に使いやすく、かつ親しみやすいコンピューターシステムとして詳細モデル「GERAS-3」を開発した。
No.2009-39
2009年9月28日~2009年10月4日