ニュートリノの未確認現象を実験で検出
:高エネルギー加速器研究機構/東京大学など

 高エネルギー加速器研究機構は6月15日、太陽などから放出される素粒子「ニュートリノ」で理論的に予想されながら実験的には未確認だった新しい現象を東京大学などと共同で初めて検出することに成功したと発表した。検出したのは、ニュートリノが別の種類のニュートリノに変わる「ニュートリノ振動」の内の一つで、宇宙に存在する物質の起源の謎を解く大きな手がかりになるのではと関係者は期待している。
 ニュートリノには、ミュー型、タウ型、電子型の3種類がある。今回検出したのは、最後まで未確認のまま残されていたミュー型から電子型に変わるニュートリノ振動。茨城県東海村の大強度陽子加速器施設「J-PARC」で人工的にミュー型ニュートリノを発生させ、295km離れた岐阜県飛騨市の地下にあるニュートリノ検出装置「スーパーカミオカンデ」で検出した。本格的な実験を開始した昨年1月から今年3月11日までのデータを解析した結果、世界で初めてミュー型から電子型が出現したことを高い精度で示す結果が得られたという。
 今回の成果は、宇宙がなぜ反物質ではなく物質で構成されている(物質優勢)のかを理論的に説明する鍵の一つとされる「CP対称性の破れ」を探索していく上で重要な手掛かりになるという。

詳しくはこちら

「J-PARC」のニュートリノビームライン(提供:高エネルギー加速器研究機構)