(独)国立環境研究所は6月15日、国連環境計画(UNEP)の「サステナブル・ライフスタイルに関するグローバル調査」プロジェクトが公表した調査報告書「Vision for Change(変化へのビジョン)」を、(株)電通と共に和訳・公開したと発表した。
この調査は、各国の政策立案者などに対して、サステナブル(持続可能な)・ライフスタイルを実現するために有効な政策や、コミュニケーション施策などを示唆することを目的として、2009年2月から7月にかけて、日本やフイリピン、インド、米国、英国など世界20カ国の都会に住む18歳から35歳までの若者約8,000人を対象として行われた。
調査方法は、主にインターネットによって行われ、インターネットが普及していない国については、質問票を電子ファイルで送信・回収する方法なども併用した。
この調査は、若者が日々の生活や活動をどう考え、将来にどのようなビジョンを抱き、「変化」のためにどのような役割を果たすことができると考えているかなどをたずね、自由回答で得られた若者のリアルな声をそのまま収録していることが特徴となっている。
国立環境研と電通は、2008年からこのプロジェクトに参画しており、5月12日に調査報告書が公表されたのを受けて、今回和訳版を発表した。
調査の結果から、世界の若者が「貧困」と「環境の悪化」を世界の2大課題と考えており、[1]環境問題については、重要度の認識が国によって異なること、[2]持続可能な発展の3つの柱である環境、社会、経済の課題を包括的に解決するための変革の力となり、主体的にそのビジョンを作り上げたいと考えていること、[3]サステナブル・ライフスタイルの実現には、誰もが取り入れられ、かつその実現を通じて更なる学びが期待できる地域レベルの解決策が望まれること、[4]そのような解決策が根付くための信頼構築が今後の課題であると考えていること―が明らかになった。
この結果は、2009年9月に国立環境研と電通が、UNEPのグローバル調査の速報版として日本国内の調査結果を分析して抽出した傾向と合致しており、世界共通の傾向といえる。今後の各国の国や地域づくりへの活用が期待される。
「変化へのビジョン」(和訳)全文は、下記からダウンロードできる。
http://www.nies.go.jp//whatsnew/2011/20110615/hokoku.pdf
http://www.dentsu.co.jp/lineup/social/sustainability.html
No.2011-24
2011年6月13日~2011年6月19日