イタリアから次世代加速器用クライオスタットが到着
:高エネルギー加速器研究機構

 高エネルギー加速器研究機構は1月7日、世界の物理学者が協力して進める「国際リニアコライダー(ILC)」計画の一環としてイタリア国立核物理学研究所(INFN)が開発したクライオスタット(極低温保持容器)がイタリアから同機構の超伝導リニアック試験施設棟(茨城・つくば市)に到着したと発表した。
 ILCは、ビッグバン直後の状態を再現して宇宙創成の謎を解き明かすことを目指し、アジア、北米、欧州の3地域が協力して開発を進めている電子と陽電子を光速近くまで加速して衝突させる次世代の電子・陽電子衝突型加速器。
 クライスタットは、その加速器の中核的要素の一つで、電子と陽電子を光速近くまで加速する空洞と呼ばれる加速管を絶対零度(マイナス273ºC)に近い極低温に保つ装置のこと。現在、「S1-グローバル試験」と呼ばれる国際協力でクライオスタットのシステム実証試験を行うプロジェクトが同機構の超伝導リニアック(線形加速器)試験施設棟を舞台に進められており、今回その実証試験のためのクライオスタットが到着したもの。
 S1-グローバル試験では、INFN製と高エネ研製の両クライオスタットにそれぞれ4台ずつ空洞を組み込み、高エネ研の超伝導リニアック試験施設を使って各種の試験を行う。今回のINFN製クライオスタットには、米国製と欧州製の空洞を2台ずつ組み込み、今年後半から試験を開始する予定。

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つくば市(茨城)の高エネ研にイタリアから届いたクライオスタット(提供:高エネルギー加速器研究機構)