「ニレ類立枯病菌」が国内にも分布していることを発見
:森林総合研究所/イギリス森林研究所

 (独)森林総合研究所は1月6日、イギリス森林研究所の協力を得て、これまで日本国内では見つかっていなかったニレ類を枯らす「ニレ類立枯病(たちがれびょう)菌」が北海道に分布していることを発見したと発表した。
 ニレ類は、北半球の暖帯から温帯に生育する落葉高木。日本には、ハルニレ、アキニレ、オヒョウ、ケヤキ、エノキなどが分布し、その内のハルニレは「エルム」の名で知られ、北海道の平地でよく見られる。
 ニレ類立枯病菌は、ニレ類の言わば“天敵”。キクイムシ類によって媒介され、北米、欧州などではこの菌で生じるニレ類の立ち枯れ被害が大きな問題になっている。しかし、日本国内では、まだこの菌によるニレ類の立ち枯れ被害は出ていない。
 同研究所は、樹木病原菌の探索・収集の一環として、北海道でハルニレの倒木や、それらに穴を開けて生息するニレノオオキクイムシから分離した菌類から今回ニレ類立枯病菌を発見したもので、イギリス森林研究所の協力を得てコロニーや胞子の形態観察、DNA(デオキシリボ核酸)解析を行い間違いないことを確認した。
 同研究所は、北海道各地で行った調査結果から、この菌が道内のニレ類に広範囲に分布していることが分かったとしている。
 国産のニレ類には、立枯病に対し抵抗性があるとする見解もあり、同研究所は「危急な被害の発生はないと考えられる」と見ているが、今後も引き続き現地での調査を継続することにしている。

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