筑波研究学園都市の更なる発展に向けグランドデザインを策定
:新たなつくばのグランドデザイン検討委員会

 筑波研究学園都市の更なる発展の方策を考えてきた「新たなつくばのグランドデザイン検討委員会」(委員長:堀江武・農業・食品産業技術総合研究機構理事長)は1月25日、同研究学園都市(茨城・つくば市)の未来像と基本目標、その実現に向けた戦略などを示した「グランドデザイン」を策定したと発表した。
 この新グランドデザインは、国などの多くの研究機関が集まった同研究学園都市が科学技術面で地球環境や高齢化など、世界や日本が直面している課題の解決を先導し、それに貢献することを「つくばの理念」とし、[1]世界のイノベーション(技術革新)をリードするグローバル拠点都市、[2]豊かな緑とゆとりある空間に囲まれた活力ある文化創造都市、という2つの「基本目標」を設定、これらの目標実現のための「7つの戦略」を示している。実現目標年次は、10年後の平成32(2020)年頃としている。
 グローバル拠点都市実現の戦略としては、▼地域連携型の研究プロジェクトの推進や、つくばを中心とした地域での様々な社会実験など、研究開発の連携の推進、▼人材開発の強化と生活環境などの整備による人材の育成・確保、▼研究人材の国際流動化促進と外国人研究者・留学生受け入れ環境を整備する国際化の推進、▼情報のネットワーク化推進など、情報発信機能の強化、を挙げている。
 活力ある文化創造都市実現の戦略としては、▼産業集積に向けた企業立地の促進など、都市構造変化に対応した土地利用の見直し、▼都市景観を保全するための多様な手法の活用や、自然を活かし、環境に配慮した町づくりの推進など、都市景観・文化の創造・保全、▼更なる広域交通ネットワークの整備促進など、交通体系の強化・充実、を列挙した。
 この筑波研究学園都市の将来像の実現に向けた体制は、核となるハブ組織とそれと連携するプロジェクト主体のネットワーク型が望ましく、行政に加えて、地域に深い関わりを持つ筑波大学と主要な現地立地機関の参画が望まれるとしている。そして、当面推進すべきプロジェクトとしては、[1]研究施設・設備の共同利用推進、[2]人材開発システムの構築、共有化、[3]各研究機関などの情報のネットワーク化、[4]地域連携型研究開発、オープンイノベーション型研究開発の推進など、列記している。
 「新たなつくばのグランドデザイン検討委員会」は、昨年6月の筑波研究学園都市整備検討委員会で「世界最先端の科学技術を活かした環境都市を目指す」という方向性が打ち出されたのを受けて設置され、筑波立地の各研究機関・大学、地元の団体・企業、国・県・市などからの13人を委員に、これまで3回の委員会を開き、グランドデザインの検討を進めてきた。

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