(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2月3日、米国ボーイング社と航空機搭載型乱気流検知システム「ドップラーライダー」の共同研究契約を締結したと発表した。同機構が開発中のドップラーライダーを大型旅客機に搭載可能なものに改良、ボーイング社と実用化に向けた研究開発を行う。
ドップラーライダーは、レーザー光を使って航空機の10km前方に存在する乱気流を計測し、不意の大きな揺れによる旅客機客室内事故を減らすことを目指している。
上空の乱気流は、全世界で航空機の安全運航を脅かす重大な問題となっており、欧米各国でも研究開発を進めているが、まだ航空機に利用できる有効な乱気流検知システムは開発されていない。
同機構は、10年前から航空機搭載型ドップラーライダーの研究開発を行っており、これまでに開発したプロトタイプ(試験装置)では、2007年7月に同機構の小型機で飛行試験を実施、小型機として初めて乱気流の検知に成功した。
今回の共同研究契約締結により、ボーイング社は自社の機体の仕様など旅客機に関する情報を提供するほか、インターフェースやプロトタイプの開発・評価を行い、乱気流の発生状況を飛行中に計測するシステムを実用化する計画。
共同研究の期間は、2013年3月までの約3年間。この間に大型旅客機に搭載可能なドップラーライダーの仕様を作成する。
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No.2010-5
2010年2月1日~2010年2月7日