将来の20nm世代超LSI作りに対応可能なマスク技術を開発
:産業技術総合研究所/東芝

 (独)産業技術総合研究所は2月15日、(株)東芝と共同で将来の20nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)世代の超高密度集積回路(超LSI)作りに対応できるマスクパターン最適化技術を開発したと発表した。この新技術で露光したLSIの寸法精度は、従来技術より約20%向上し、30nm世代までといわれる今のフッ化アルゴン(ArF)エキシマレーザー露光装置の利用をさらに一世代以上延すことが可能で、東芝は2010年度内の実用化を目指している。
 波長193nmのArFエキシマレーザーを光源とするLSI露光技術は、これまで光の位相変調を利用する位相シフトマスクや水によって光の屈折率を高める液浸技術などの導入で30nm世代まで対応してきた。
 しかし、次の世代では精度が限界に達し、二段階で微細像を転写するArF二回露光や、より波長の短い極端紫外線(13.5nm)を使う露光への移行が必要と見られている。
 その一方で、期待される現行システムの延命策として、同研究所と東芝は、露光マスクの改良を研究してきた。
 今度の開発では、シリコンウエハー上に転写されるメインパターン(回路パターン)転写像を変調して、解像度と寸法精度を向上するサブパターン(非解像パターン)の最適配置を決めるアルゴリズム(計算手法)を改善した。従来、この非解像パターン配置の最適化計算手法は幾つかあったが、露光精度が限界に近づくにつれて課題も生じ、露光精度向上の壁になっていた。
 今回は、独自の新アルゴリズムを用いて寸法精度6nmを実現、従来より約20%向上させ、高精度化と高効率化の両立を達成した。

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